- 2024年7月5日
VISON開業3周年
今年2024年の7月20日でVISONオープンから3年経ちます。画像はオープンした最初の三日間でお店の前で大桶を組み上げてディスプレイ用に配置してもらった様子です。
少しずつ、当社のことを知ってくださる方が増えてきました。改めてお店の紹介をすると、
MIKURA Vinegaryとは、お酢ビネガーもワイナリー・ブルワリーみたいに醸造所をビネガリーと呼んでみた。造語です。
MIKURA Vinegary には、現在、御浜醸造所の醗酵室に木桶5台、多気醸造所VISONの醗酵室に木桶3台が並んでいます。多気店舗オープンの際に、結い物で繋ぐ会に新桶を3台・中古のリメイクを1台、そしてディスプレイ用の大桶組み直しを依頼しました。それまでに御浜には中古で組んでもらった木桶が4台ありました。
当社がお酢を造り始めたのは2014年からです。
お酢の部門(会社を吸収する前)のスタートは、販売会社でした。仕入れて販売する。
三重県でも大きな被害のあった2011年(平成23年)台風第12号の水害に遭った仕入れ元のみふね酢さんに代わり、中野さんが製造業を立ち上げようとしましたが、融資の返済の途中で、2014年代表者が変更になって、(途中何人かリリーフ陣がいて)伊藤が代表者に(融資の連帯保証人に)。会社の名前も2016年10月1日株式会社MIKURAに商号変更しました。
製造業を始めた2014年当初、最初に造ってもらった木桶は【コウヤマキ高野槙】の材木だということが最近わかりました。4台。ウッドワークの上芝さんに中古桶を組み直してもらっています。当社が今まで存続してきたのは、いろんな人が関わっていて、いろんな感情もあって、一筋縄ではいかない、ことも文字通りありましたが、会社も木桶もフルリメイクのほか、竹の箍を編み直してもらったり、人員を全配置替えしたり、桶を逆さにしてもう一度締め直したり、貯蔵タンクのお酢が一度全部廃棄になってしまったり。最初の五年間売上はほとんどなし。経費ばかりが出ていきます。
当社の設立の経緯をご存知ない方には、もしかすると誤解をされていることもあるかもしれませんが、伊藤さんは本当に必死でした。笑っちゃうほど、自分でもなんでこんなことになってしまったんだろうと思うくらい、なぜそこまでしなければならないのかわからないけれど、全力投球でした。
まぁすぎてしまえば笑い話で、苦しいことはもちろんありましたが、この会社についたからこそ、出会える仲間もできて。人生いろいろも知って。
異業種から参入して、知識も情報も技術もなくて、ことお酢を木桶で作るなんていうのは、微生物を育ててお酢を育てるなんていうのはマニュアルではないことも覚えました。けれどまた、菌が愛おしい、作品たちが愛おしいということも知りました。できあがる都度、お酢の味が違うこともマニュアルではなしえません。(それがいいかどうかはわかりません)
思い出すとホームページをリニューアルしたことが会社を引き受けて最初の私の仕事でした。
また、ギフト向けに小さな瓶を作ったことが良かったみたいです。
ホームページを検索してお酢の会社を調べてきてくれた。立花社長との出会いです。
一念発起。
2018年VISONの出店が決まったとき、木桶を新調することにしました。
お願いしたのが冒頭の結い物で繋ぐ会です。
桶を作って頂いた際の記録動画です。見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=_wPD6meSpNk&t=5s
VISONの店舗からガラス越しに木桶が見られます。
もうひとつのエピソード。VISONの打診をいただいた2018年のことです。ちょうどその頃、私はお酢人生の師匠に出会いました。しかもなんとラッキーなことに、自宅からとても近い四日市で、です。
今まで本当にいろいろな方に助けていただき、たくさんの勉強をしました。その中でも、今の私たちが仕事をしていられるのは、四日市市のカクタ酢、田中増治郎社長のおかげです。酢の理屈を、醸造の真髄を、人生の機微を教えて頂きました。私が酢作りを学んだ、弟子にしてもらったとしたら、増治郎師匠がいなければ、今の私の話し方はもっと営業的トークになっていたと思います。頭の良い、教養の高い、文化にも造詣の深い、優しい優しい亀仙人でした。心から尊敬できる人に出会えることが、まさかお酢の仕事に就いてからとは因縁でしょうか。
そして、増治郎社長が少し私を頼ってくれるようになって「種酢をわけて」と言ってもらった時のこと。「アンタんとこの酢はええな。強いな」そう言ってもらったとき、太鼓判を押してもらえた気がしました。自慢ですが、当社の酢酸菌群たちが、本当に丈夫な強いこなんです。もうね、本当にたくましい。元気でわんぱく健康優良児です。お嫁入りしてまたカクタ酢でお酢の培養が始まっていると思うと少しだけ恩返しできた気がしました。
このわんぱく強いこ酢酸菌は、木桶だから培えたお酢たちなのだと自負しています。酢の醸造が木桶でないとならないことは決してありません。メーカー各社、どんな材質の容器で、どんな原材料でも、素晴らしいお酢を作るし、どこも美味しいと思います。それぞれの味があります。
私はご来店いただいたお客様にお伝えしていることが「当社の酢でなくてもいいです、お酢に興味を持ってください。もっとお酢を使ってください。味がそれぞれ違うことを比べてください」と話しています。
VISON蔵前広場では、味噌・醤油・みりん・酢と並んでいます。発酵食品に興味を持ってくださることはブームでもいい、知ってほしいし、食べてほしい。そして、もしも美味しいな、と思われたらまたお求めください。通信販売でお待ちしています。
そしてそして。VISONまた来たいな、今度はもっとゆっくり見てまわりたいな。と思ってもらえるような緑豊かな心穏やかな施設になっていくことを私も祈っています。暑いけど、広いけど、遠いけど、それでも、面白いな、と思ってもらえる楽しい施設であるように、当社ももっと頑張ります。ご意見ご感想ありましたらおたよりください。お待ちしています。
MIKURA Vinegary 伊藤志乃