- 2023年7月16日
醸造酢と合成酢(食品表示義務)
発酵食品に関心が高まり、消費者の皆様も大変熱心に勉強しておられるなぁ、と感心いたします。
感心している場合じゃない。メーカーは、何より自分達の商品について努力し、安全な品質と正しい情報を提供する責任があります。
酢について話してほしい。講義してほしい。とご依頼を頂くのですが、異業種から参入したメーカー新参者ですから、人様に話せるようなことがあるのか。私も勉強する機会をいただいています。
過去に、委託販売をお願いしている店先で、【醸造酢】と書いてあるラベルを見て、
「醸造酢って身体に悪いんですよね」とお尋ねになったお客様がいらっしゃいました。販売店の店長さんがどう回答していいか迷っていたとき、同じ委託商品で陳列にきていた【醤油メーカー】の社長が、隣から助け舟を出してくれたようです。
おそらく、このお客様が勘違いされたのは、醸造用アルコール、という単語のことだったかと思います。また、これについても、身体にいい、身体に悪い、良い商品、悪い商品、とは言うつもりはありません。それらはまた私が目の前の消費者と理解をしながら話せる機会に、みなさんの知識を深めるお手伝いをしたいと思います。
今日、このブログを書こうと思ったのは、消費者側ではなく、販売者側のことです。
出典
食酢品質表示基準
http://www.shokusu.org/rules/pdf/a.pdf
全ての業界において関連法律があります。行政基準もあれば、国の定める遵守すべき法律があります。こと、食品とは直接口にするものですから、私たちメーカーはこの法律を最低限知っておかないとなりません。
最近、かわいいラベルだな、と思ったら「お酢だった」という商品を見かけました。
これが表示義務を満たしていなかったので、ちょっと危険だな、と思うことがありました。
消費者に、生活にかかる全ての法律を知りましょう。とは言えません。私が最近エアコンの設置における法律を業者さんから教えてもらったのも、その道のプロでなければ、知らなかったな〜ということです。え?新聞には載ってた?(最近発表されたものでなければ、とうの昔に新聞に掲載されたか、それも知らず、食品の法案など全ては皆さん知り得ないと思います)
だからこそ、販売者は☆☆☆知っておく義務と表示する責任☆☆☆があります。
【醸造酢と合成酢】
醸造酢 酢酸醗酵という醗酵工程を経ているもの
合成酢 酢酸醗酵の工程を必要としないもの
先の、お客様は何かを聞いたか読んだかで、醸造なんとか、という単語が頭に残っていたのだと思いますが、そもそも醸造酢は身体に悪い、という思い込みは間違っています。「醸造酢」とは記載すべき表示義務です。
合成酢ではないこと、を区別をします。
商品名の表示近隣に、これが醸造酢なのか、合成酢なのか、明確にわかるように
背景の色とは文字の色を分けて!
文字の大きさも決まっていて!
いわゆる裏ラベル(一括表示)とは別に、表ラベルに表示しないとなりません。
かわいいラベルだな、と思ってジャケ買いすることはよくあります。
裏を見ればそれが何かを必ず書いてある【一括表示】(枠で囲うこと、と決められています)
「名称」や「原材料」の記載も無論、食品表示法に定める義務であり、違反は、罰せられます。
また、その商品の販売責任者と、製造所(住所と製造者名称)も記載しないといけません。
現在は、同一製品の複数製造工場のみ製造固有記号の表記が可能です。
ジャケットが可愛くて、正しい表示義務に満たないのは、よくあるのが、販売者が製造所に製造委託する場合。ノベルティで、ラベルを張り替えたり。製造者が販売者がどんなラベルを貼るか確認しない場合に多く見られます。
これも本来、受託した製造会社は表記の確認をすべきです。
間違っているかどうか、消費者ではそれを判断する術がありません。
「これ醸造酢って書いていないわ」なんて、
食品表示法(少し前にいろいろ大改正がありました)知っている同業者しか、気づきもしません。
近く呼んで頂く勉強会では、もっと高度な受講者さんに、より有益な情報と美味しいお料理を作るヒントになる話をしたいです。