MIKURA Vinegary

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2018年11月27日

信念を問われる

本文とは関係ありません。
関係なくもないですが、昨日お客様をお連れして熊野を少し観光した際に、初めて訪れた「産田神社」

熊野、厳密に言うと当社は三重県南牟婁郡御浜町みえけんみなみむろぐんみはまちょう
に位置しますが、熊野とは本当に神話にあふれた神々しい地域です。
実のところ私は、まったくの現実主義で日本書紀も読んだことはありませんし、信心の心は。
普段
頂きますとご馳走様ですくらいしか手を合わせないかもしれません。それは信心とは言わないですね。
ドラマティックな熊野のストーリーを語るべきお酢の醸造蔵であってほしいと望まれるかもしれませんが、
何せ事業承継です。会社の再建です。まったくの無知なスタートですから。とうとう勢いも息切れしてまいりました。
自分にやっていけるのだろうか、と弱気になっている時でした。昨日お客様が当社をお訪ねになったのは。

私自身が、食品業界でも製造業態でもないド素人で、そして恥をもうひとつさらせば、私は料理をしません。
自宅をラボのようにして、料理をしたり、実験をしたり、撮影をして画像をホームページにアップロードする、
そんな憧れはあっても、家には寝に帰るだけの暮らしです。
毎日がキラキラ女子とはほど遠い現実です。

私の話したラジオを聴いてくださったと、お問い合わせがありました。
お酢を造りたい、というご要望です。
当社で良いのだろうか。私でいいのだろうか。いつもそんな気持ちがあります。
近く発酵食品の女子トークがある、なんてイベントも、
人前で話すことなんてできないし、経験も知識も何もない人間です。

でも、昨日お越しになったお客様から答えをもらったような気がしました。
人はいつも引力で引きつけられ、磁石のようにひっつくか離れるかの瞬間がある。
どうしてこんな出会いをしたのだろうか、と思う時に、それは本当に説明のつかないたぐり寄せがある。

私がこの会社を請け負うことになったのも、説明はつけられないけれど、
神様が何か試練をお与えになったのかも。修行で、鍛錬で、そして徳を積むための毎日なのだと。
この会社が真実に世の中で必要とされるためには、もう少し修行がいります。
ここにこの会社があることを知ってもらうためにも、努力と研鑽が必要です。
信念。がないと、会社の経営はショートします。
私には信念があっただろうか。と思うこの二年でした。
売上を上げるために右往左往して、果たしてその行動は目標地に近づいているのだろうか。
闇雲に手当たり次第に歩いてはいないだろうか。

会社がショートしてもおかしくない。世の中に必要とされていなければ、自然淘汰される。

食品偽装を問われる世の中です。
偽装はないにしても技術が足りない未熟な会社である、と私自身が自信が持てなかった。

昨日、お客様に助けられた言葉があります。
「関わる全ての人が何かで繋がっていたらいいな」
私もそうありたいな、と思っていました。誰かが誰かを助けたり、助けたと思った人が実は助けられていたり。
需要と供給は、今の時代、お金を払う側ともらう側、ではなく、
選んでもらえるものを提供し続けること。選ぶ目を養うこと。

仲間が増えて、知識が増える。
困った時に支え合う。
会社の存続は資本主義の中に生きる。つもりでいるのですが、
人は一人では生きていけない。
そんなことを事業計画書を書きながら考えています。

「こんな頃が一番楽しかったな」
製造設備をご覧になったお客様が話してくれた、今は全てが手作りで
今一番のじり貧でどん底の「こんな頃」を楽しみたいと思います。
来年には今年収穫したお米で新しい玄米酢ができます。
その頃には
クマノザクラが咲きほこっているでしょう。

株式会社MIKURA 伊藤志乃