- 2020年3月13日
培養の話し
みなさまいかがお過ごしですか。2020年は新型コロナウィルスのニュース一色ですね。歴史に残る報道になるかもしれません。考えることはいろいろありますが、今日は、「菌」の話しをしてみようと思います。
お酢を作るには、アルコールと酢酸菌が必要です。そのお酒が何を原料にしてできているか、で、何のお酢か、となるわけです。米から米酢が、リンゴからリンゴ酢が、それぞれ原料と製法の違いで、お酢にもいろいろ味の違いがあります。
また酢酸菌とは、アルコールを酸化させて酢酸を作る菌の総称です。酢酸菌もまた、各社が製造代々培養し受け継いで「種酢」と呼んで守るお酢の味を作るものです。
この「種酢」ですが、大変興味深い論文がありますのでここでご紹介します。
以下引用:各企業は自社の酢酸菌を絶やさぬよう大切に培養し続けてきた.これまでの私たちのアンケート調査の結果から,地震や戦災,猛暑などによって酢酸菌を全滅させた経験をもつ企業があることがわかっている(未発表).こうした際や,そもそもの創業時には,近隣の同業他社,あるいは県を超えて,種酢を譲り受けた記録をもつ企業もあった.しかしほとんどの企業では,創業時の記録や,災害復興時の種酢の授受の記録は残っていなかった.
上記、
愛媛大学附属高等学校の高校生が論述しています。タイトルは
酢屋で継代培養されてきた酢酸菌の遺伝子比較
引用しました文章は下記より全文ご覧頂けます。
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1224
今回のこの論文に掲載されているデータには当社の種酢は加わっておりませんが、これ以後の継続された調査に、当社も原料提供しております。
その後、ご指導になった松本先生から頂いたレポートには
この一連のデータには、MIKURA様からいただいた酒粕酢の菌は含まれていません。
その後再び送っていただいたお酢からは、いくつかの菌株を単離することに成功し、それらの種名を同定することには成功いたしました。
得られた単離株のうち、遺伝的に同一と思われる株は排除し、遺伝的に別種・別株と思われるものだけを残した所4株存在すると考えられ、それら4株の種名をWeb上(BLAST検索)で調べたところ
Acetobacter pasteurianus strain DHMV3706
Gluconacetobacter entanii strain HWW100
Gluconacetobacter entanii strain HWW100
Gluconacetobacter entanii strain HWW100
となりました。下3つは同じ種名となっていますすが、遺伝的には少し異なり
ます(クローンではない)。単離できなかった酢酸菌がいるかもしれません
が、これらがMIKURA様における主要な酢酸菌であると言って良いと思われ
ました。
なんでしょうね。わかりませんね。すごいですね。文系営業職にとっては目がチカチカします。
株式会社MIKURAの種酢を分けて頂いたのは、三重県紀宝町にあるみふね酢さんです。これは、2011年の台風12号の時に、当時のみふね酢の従業員が種酢を瓶に詰めて、身体が水に浸かりながら避難した、という難を逃れた強い強い酢酸菌の株分けです。その後、移籍し当社の従業員となり、また、そこから培養が始まります。当社の種酢をまたお返ししたこともあります。
当社が現在、OEM受注生産でお引き受けする際にも譲り分ける種酢ですが、(OEMでは完成品として酢酸菌は熱殺菌し酢酸発酵を止めて納品となります)
種酢は本来、分け与えていいものと思うし、お酢を作る会社にとって、それ以後の各社の環境変化が培養の成長に起因するものと思っています。
(種酢を盗まれた、って言う人もいるけれど、無限の増殖が腕の見せ所だと考えています)
株分け、はやっぱり親戚筋になりますよね。
その中で、DNA解析とはなんと興味深い!愛媛大学附属高等学校の生徒さん。よくぞ研究してくださった!と思うのです。 そして当社にも声を掛けて頂いたことありがたいです。
これは酢酸菌の菌糸です。網状ですね。やや気持ち悪いですね。画像小さめにしておきました。
しかし、これが生きている菌の証です。お酢はこうして出来上がります。
ウィルスも菌。大腸に住むのも菌。善玉菌も悪玉菌も日和見菌も大事。
微生物ってすごいです。
どうぞみなさま、お身体にも地球環境にもふかふかな健康な土壌に菌を育ててください。
味噌も納豆もヨーグルトも他にもいろいろな発酵食品がありますね。肉も魚も野菜も豆も昆布もいっぱい食べて運動して眠る。
お酢も取り入れてください。
体力免疫力つけてウィルスに負けない身体にしてください。
養生しておられる皆様、どうぞお大事にしてください。
食品製造業として、健康を提供できる一助となれるよう努力してまいります。
株式会社MIKURA 伊藤志乃