- 2026年5月31日
種酢のお嫁入り

2026年5月31日トークイベントに招いていただき、お話をするのですが、時間とタイミングが合えば、当社の種酢を差し上げたことがある、もちろん当社も頂いたことがある。の話をしようと考えています。つい最近もご依頼があって、旧知のお酢仲間に「酒粕酢の種酢」を譲りました。ご入用であったのは、「果実酢」の種酢であったかもしれませんが、少しでも培養の助けになるといいなぁ、と願っています。
酢酸発酵の液体表面、酢酸菌の菌糸の様子です。

酢酸菌の菌糸が張り出します。
そしてびっしりと
ちりめん状に網羅します。

種酢、とは酢酸発酵が終了し、酒から酢に変わったときに、まだ酢酸菌が生きている状態で、次のアルコールを投与すると、新しい酢酸発酵が始まる。そのまだ菌の生きている酢のことです。お酒で言うと、生酒、ですね。
この生酢、は、このまま瓶詰めをすると、実は酢酸菌がまだ活動できるので、瓶の中で変化をし続けます。瓶内発酵です。どんどん酸度が上がるか?と言えば密閉された瓶では酸欠になり、食べる餌(アルコール)もないので、酢酸菌が弱っていきます。せっかく上がった酸度が今度は下がってしまう、不安定な状態です。生きているからです。
にごり酢、というのは、火入れしない、のとは別で、多くは、濾過をしない。ことを指します。おそらく、流通しているにごり酢も火入れはしているが濾過をしていない、という商品だと思います。
当社は玄米酢と酒粕酢を作るのですが。最近受注製造で依頼を受けたにごり酢はこちらです。

以前に書いたブログですが、
「酢酸菌のDNA塩基配列を解読し,その系統解析を行うことにした」
という
愛媛大学附属高等学校の論文があり、日本の酢のDNAをサンプル調査したという面白い研究結果が発表されています。
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1224
その中にある貴重な文献も興味深いです。
2) 實好琴葉,小山絵凪:化学と生物,56, 59(2018).
当社の種酢も譲って頂いたり、差し上げたりして、親戚関係を結んでいる先はありますが、お嫁入りした先の気候や継代培養=生まれ出る子孫の元気の良さがどんどん変化していると思います。味ももちろん違います。

(5月31日のイベントにお招きいただく澤田酒造さんは、1848年創業2年後に180年を迎えます。5月30日のトークに登壇された剣菱さんは1505年からお酒を作り続けている。すごいことです。本当に素晴らしいです。)
当社は製造業としての歴史はありません。しかし、酢酸菌は当社ができるはるかはるか昔から続いているというのがすごいことです。悠久の時、という言葉を噛み締めます。
味噌も醤油も納豆もですが脈々と続く日本食の文化の尊さに、改めて口にするものの偉大さを感じます。美味しくて身体が喜ぶ。私たちが食べるものが身体を作り、そのDNAが続く。そんなお話ができたらいいなぁ、と考えています。
株式会社トーエー
MIKURA Vinegary
伊藤志乃




